保険は現代社会に欠かせない「共助の仕組み」です。しかし保険にはさまざまな種類があり、必要なものと不要なものを見極めなければ、毎月の保険料が家計を静かに圧迫し続けます。この記事では、FPとして多くの家計相談を通じて見えてきた「正しい保険の入り方」3つの原則をお伝えします。
📊 知っていますか? この数字
生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査(2024年度)」によると、2人以上世帯の年間払込保険料(個人年金保険含む)の平均は35.3万円(月換算:約2.9万円)。しかし実際に家計相談を行うと、そのうち月1〜2万円は「なくても困らない保険」だったというケースが少なくありません。年間にすると12〜24万円。10年で120〜240万円が、知らないうちに流れ出ていることになります。
💡 この記事でわかること
①保険が本当に必要な場面とは何か
②保険金額の正しい決め方
③絶対に避けるべき保険の種類と落とし穴
原則① 保険は「生活が破綻するリスク」だけに使う
保険の本来の目的は、「確率は低いが、もし起きたら生活が破綻するほどの損害」に備えることです。貯蓄で対応できるリスクは、保険に頼る必要がありません。
具体的に備えるべきリスクとは、次のようなものです。
- 世帯主が亡くなり、残された家族の生活費や教育費が賄えなくなる
- 交通事故で数千万円・数億円の損害賠償を求められる
- 住宅ローン返済中に自宅が火災に遭い、修繕費が払えない
逆に言えば、これ以外のリスクの多くは保険でカバーする必要はありません。
⚠️ 住宅ローンを組んでいる方は、団体信用生命保険(団信)の加入状況を必ず確認してください。団信が適用されれば、死亡時のローン残債はゼロになります。重複して高額な生命保険に入っているケースが非常に多く見受けられます。
原則② 保険金額は「ライフプランありき」で決める
多くの方が保険に入るとき、「月々いくら払えるか」で保障額を決めています。しかしそれは順序が逆です。
正しい順序は、「万が一の時にいくら必要か」を先に計算することです。
例えば生命保険であれば、世帯主が亡くなった場合に遺族が必要とする教育費・生活費の総額を試算し、公的年金(遺族年金)や貯蓄で補えない不足分だけを保険で備えます。その金額が決まって初めて、必要な保障額がわかります。
火災保険・自動車保険も同様です。「最悪の事態でいくら必要か」を起点に考えましょう。なお自動車の対人・対物賠償は、近年の賠償金高騰を踏まえ無制限での加入を検討する価値があります。一方で車両保険は「生活が破綻するレベルの損害」にはならないケースも多く、加入の要否を慎重に判断すべきです。
原則③ 「保険と投資は混ぜるな危険」
FPとして最も強くお伝えしたいのが、この原則です。
保険の中には、貯蓄・投資の要素が絡んだものや、公的制度で十分カバーできるものが数多くあります。こうした保険は基本的に不要です。下の表で詳しく確認してください。
こうした貯蓄型・投資型の保険に共通するのは、手数料が高く、加入者に有利な設計になっていない点です。販売側の収益構造上、「魅力的に見えるが実は不利」な商品が多いことを知っておいてください。
| 種類 | 問題点 |
|---|---|
| 終身保険・養老保険 | 保障と貯蓄を同時に行うため、どちらも中途半端になりやすい。同じ保険料を掛け捨て保険+投資に分けた方が合理的なケースがほとんど。 |
| 外貨建保険・変額保険 | 運用成績や為替の影響を受け、受取額が保険料を下回るリスクがある。リスクはすべて加入者が負い、手数料だけ高い構造。 |
| 医療保険 | 日本は国民全員が健康保険に加入しており、高額療養費制度で自己負担に上限がある。ある程度の貯蓄があれば、民間の医療保険が不要なケースも多い。なお、がん保険・医療保険は一律に不要ではなく、貯蓄状況や家族構成によって判断が変わる。 |
| 個人年金保険 | 「年金」という名称で良い保険に感じるが、確定年金型が中心で受取期間が限られ、利回りが低く、インフレへの対応力も低い。老後資金はNISA・iDeCoを活用した方が効果的な場合が多い。 |
| 学資保険 | 利回りが低く、保障内容も薄い。途中解約すると元本割れのリスクがある。教育資金は使用時期が決まっているため、株式投資では下落局面での元本割れリスクに注意が必要。準備方法はライフプランに合わせて個別に検討することが重要。 |
一部の商品では、手数料が高く販売側に利益が大きい構造になっているものがあります。「保障も貯蓄も同時にできる」という説明は魅力的に聞こえますが、どちらの目的も中途半端になりがちです。
「保険は保険」「投資は投資」で完全に分けることが基本原則です。巧みな営業トークに乗せられないよう、この一線だけは意識しておいてください。
親戚・知人の勧めには一線を引く
不要な保険に入ってしまうもう一つの原因が、親戚や知人からのお付き合いです。断れずに加入し、そのまま何年も払い続けている方が非常に多い現実があります。
保険は長期にわたって保険料を払い続けるものです。人間関係を大切にしながらも、「保険は必要かどうかで判断する」という軸を持つことが、長い目で見て家計と人生を守ることになります。
今日からできる3ステップ
「見直したい」と思っても、何から手をつければいいかわからない方へ。まずこの3つだけやってみてください。
まとめ
正しい保険の入り方は、シンプルです。
- 生活が破綻するリスクだけに備える
- ライフプランで必要額を計算してから加入する
- 保険と投資は絶対に混ぜない
「なんとなく勧められたから」「お付き合いだから」という理由で加入した保険が、毎月の家計を静かに圧迫しているケースは少なくありません。一度、今入っている保険をすべて並べて見直してみてください。割り切って「必要・不要」を判断することが、家計改善の大きな一歩になります。
⚠️ 当事務所は保険商品の販売を一切行いません。中立な立場から、あなたの家計に本当に必要な保障を一緒に整理します。