「NISAって、結局やった方がいいの?」
そう聞かれることが増えました。物価は上がり、年金への不安は高まり、給料はなかなか上がらない。そんな時代に20〜30代を生きているなら、お金への不安を感じるのは当然です。
でも、いざ始めようとすると「何から手をつければいいかわからない」「オルカンとS&P500、どっちがいいの?」「NISA貧乏になるって聞いたけど大丈夫?」と迷子になってしまう方も多い。
この記事では、FPとして多くの家計相談を通じて見えてきた「まず土台として身につけてほしい3つの習慣」をお伝えします。投資の銘柄選びより、もっと手前の話です。
幸せとお金の話を、少しだけ
習慣の話に入る前に、一つ問いかけさせてください。
「今、自分は幸せだろうか?」
「自分にとっての幸せって、何だろう?」
推し活に全力投球している時間も、友人との旅行も、好きな仕事に打ち込む瞬間も——幸せの形は人それぞれです。幸せは、お金の多い少ないで決まるものではありません。
ただ、正直に言います。お金があると、選択肢が増えます。自由が生まれます。
やりたいことができる。大切な人を守れる。いざというときに動ける。お金は幸せそのものではありませんが、幸せを選ぶための「手段」として、これほど強力なものはありません。
お金の哲学は、人によって違う
お金との付き合い方に、唯一の正解はありません。
投資家・ビル・パーキンスの著書『DIE WITH ZERO』は、「お金は死ぬまでに使い切れ」という主張で話題になりました。人生の各ステージには旬があり、若いうちにしかできない経験がある——だから「今」にお金を使うことを恐れるな、という考え方です。
一方、明治・大正期の財政学者本多静六は「月給の4分の1を天引き貯蓄せよ」という言葉を残しました。収入が入ったらまず貯蓄分を先に確保し、残りで生活する。この習慣を愚直に続けることで、一介の公務員から巨万の富を築いた人物です。
また近年はFIRE(Financial Independence, Retire Early)——経済的自立による早期リタイア——を目指す若者も増えています。会社に縛られず、自分の時間を自分でコントロールしたい。そのための資産形成を、20代から逆算して始める考え方です。
どれが正しいのか。答えは、あなた自身の価値観と人生設計によって変わります。 FPとして言えるのは、「どれか一つが絶対に正しい」という唯一解は存在しない、ということです。
ただし、どの哲学を選ぶにしても、共通して必要な土台があります。
💡 この記事でわかること
①若いうちにお金の習慣を作るべき理由
②今すぐ始めるべき3つの具体的な行動
③NISA貧乏を防ぐための考え方
習慣① 家計を「把握」する
どんな投資より先にやるべきことがあります。家計の把握です。
「DIE WITH ZEROで今を楽しみたい」という人も、「本多静六のように貯めたい」という人も、「FIREを目指したい」という人も、まず自分が今いくら稼いでいくら使っているかを知らなければ、何も始まりません。
家計相談の現場でよく見かけるパターンがあります。「貯蓄できていない」と感じていても、収支を整理してみると、月2〜3万円の「気づかない支出」が見つかることが少なくありません。使っていないサブスクリプション、気づけば習慣になったコンビニ払い、なんとなく続けているサービス料——こうした「見えない出費」を洗い出すだけで、毎月の余裕が生まれます。
家計簿アプリでも、手書きでも構いません。まず1か月、収支を記録することから始めてください。
習慣② 長期投資を「今すぐ」始める
家計に余裕が見えてきたら、次は投資です。
若い世代が投資において持つ最大の武器は「時間」です。複利の力は年数が経つほど大きくなります。たとえ途中で株価が暴落しても、若ければ回復を待つ時間があります。
📊 知っていますか? この差
同じ月3万円を積み立てた場合、25歳から始めた人と35歳から始めた人では、65歳時点で1,000万円以上の差がつくことがあります(年利5%・複利計算の場合)。
まずは新NISAを入口に
20〜30代にとって、新NISAは使い勝手の良さが魅力です。いつでも引き出せるため、結婚・住宅購入・教育資金などライフイベントへの対応がしやすい。投資先は、初心者にはオルカン(全世界株式インデックス)やS&P500連動のファンドが選ばれています。
会社員なら確定拠出年金(iDeCo・企業型DC)も
掛金が所得控除の対象になるため、節税しながら老後資産を積み上げられます。無理のない範囲で積み立てるだけで、将来の選択肢が広がります。
⚠️ NISA貧乏には注意
最近「NISA貧乏」という言葉が広がっています。NISAに積み立てすぎて手元の現金が不足し、急な出費や日々の生活費が回らなくなってしまう状態のことです。投資を始める前に、生活費3〜6か月分の現金は手元に残すことが鉄則です。「投資は余裕資金で」という原則は、NISAが普及した今も変わりません。
習慣③ ライフプランを「書いて」みる
3つの中で、最も見落とされがちな習慣です。
どの哲学を選ぶにしても、「何のためにお金を使うのか・貯めるのか」が明確でなければ、行動に一貫性が生まれません。
ライフプランとは、今後の収入・支出・ライフイベント(結婚、住宅購入、子どもの教育、老後など)を時系列で整理した計画です。難しく考える必要はありません。
- 何歳ごろ結婚・出産を考えているか
- 住宅購入を検討しているか
- 老後はどんな生活を送りたいか
この3つを書き出すだけで、「いつまでにいくら必要か」が見えてきます。漠然とした不安が、具体的な数字に変わる瞬間です。
ライフプランが明確になれば、「推し活にいくら使っていいか」「旅行に使える余裕はいくらか」も自ずとわかります。我慢するためではなく、使うべき時に使うべきことにお金を使うための地図です。
まとめ:正解は、あなたが決める
推し活も、友人との旅行も、大切な経験です。今を楽しむことと、未来に備えることは、どちらかを犠牲にする話ではありません。
幸せは、自分の心が決めるもの。でも、お金があることで選択肢は広がり、自由が生まれます。
「DIE WITH ZERO」で生きるも、「4分の1貯蓄」を実践するも、FIREを目指すも、あなたが決めることです。ただ、どの道を選んでも、この3つの習慣が土台になります。
まず一つ、今日から始めてみてください。